会計士・税理士が解説!個人事業主の開業時に必要な提出書類や手続きについて

クーちゃん

個人事業主が開業する際に必要になる提出書類や手続きは?
e-taxソフトのおおまかな使い方は?

今回はこのような疑問に答えれるようにわかりやすく解説します。

こんにちわ。大阪の会計士/税理士の唐木です。

税理士としての活動は、個人事業主として実施するため、開業時の届出を行いました。

今回は、個人事業主が開業する際に必要となる書類や手続きについて解説します。

個人事業主として、開業される方に役立つ情報となっていますのでぜひ読んでみてください!

※こちらの記事は、執筆時点の情報に基づいておりますので、最新の情報も併せてご確認ください。

目次

開業時に必要な書類・手続きについて

開業時に必要な書類・手続きとしてよくあるものは下記の通りです。

基本的なものは押さえていますが、全てを網羅的に記載しているわけではありません。

税務署

税務署あての書類が一番多いです。こちらはe-taxで電子で申請することが可能です。

後ほど、実際にe-TAXソフトで電子申請したときの大まかな手順についても解説します。

書類名必須かどうか?提出期限必要な状況の例
開業届必須1か月以内
青色申告承認申請書任意2か月以内税務上優遇を受けることができる青色申告をする場合
青色事業専従者給与に関する届出適用の場合必要2か月以内妻に給与を支払い損金算入する場合
棚卸資産の評価方法の届出任意確定申告期限まで在庫を保有するビジネスで最終仕入原価法以外を適用したい場合
減価償却資産の償却方法の届出任意確定申告期限まで固定資産を多く保有するビジネスで機械装置を定額法で償却したい場合
有価証券の評価方法の届出任意確定申告期限まで有価証券を保有するビジネスで総平均法以外を適用したい場合
暗号資産の評価方法の届出任意確定申告期限まで暗号資産を保有する場合で総平均法ではなく移動平均法を適用したい場合
(個人の法定評価方法は総平均法)
給与支払事務所等の開設届出従業員を雇う場合必須1か月以内1名でも従業員を雇い給与を支払う場合必須
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書任意特になし(提出した翌月給与から適用される)給与の支給人員が常時10人未満である場合、毎月の源泉所得税の支払いを半年毎にする場合
消費税課税事業者選択届出任意課税期間中(決算日まで)多額の課税仕入が発生し、消費税の還付を受ける場合(2年間は課税事業者になるため、翌年も消費税の申告義務あり)
消費税簡易課税制度選択届出任意課税期間中(決算日まで)消費税の申告を課税売上のみで行う簡易課税の適用を受ける場合
適格請求書発行事業者の登録申請書任意課税期間の初日から登録する場合は15日以内インボイス対応のため適格請求書発行事業者になる場合

棚卸資産の評価方法や減価償却については、こちらの記事で解説していますのでぜひ併せて読んでみてください。

都道府県税事務所・市町村役所

税務署の他、都道府県税事務所及び市町村役所にも開業届に相当する「事業開始等申告書」を提出する必要があります。

各都道府県税事務所及び各市町村役所で提出期限等が異なりますので、提出先の都道府県税事務所及び市町村役所の公式ホームページ等で確認する必要があります。

こちらは地方税の電子申請システムであるel-TAXでは対応していないようだったので、仕方なく紙出力して郵送することで対応しました。

市町村役所又は今までの健康保険組合(健康保険関係)

開業に当たって、今の会社を辞めた場合には、健康保険の手続きが必要となります。

今までの健康保険を任意継続する場合は、退職してから20日以内に今の健康保険組合に届け出る必要があります。

一方任意継続しない場合でも、国民健康保険に加入する必要があるので、市町村役所で14日以内に手続きをする必要があります。

市町村役所(国民年金関係)

会社を辞めた場合には、厚生年金保険の加入者ではなくなりますので、国民年金に加入する手続きが必要となります。

こちらも健康保険同様、市町村役所で14日以内に手続きをする必要があります。

労働基準監督署又はハローワーク(労働保険関係)

従業員を雇う場合には、労働保険関係の手続きが必要になります。

労働保険は、労災保険と雇用保険の総称であり、それぞれの手続きが必要になり、これらを一括して手続きするものを一元適用事業といい、それぞれ個別に手続きするものを二元適用事業と言います。

なお、労働保険関係の手続きは、建設業等の例外的な業種の二元適用事業とそれ以外の一元適用事業で届出先が異なりますが、ここでは一般的な一元適用事業についてお話します。

一元適用事業については、労災保険と雇用保険を合わせた労働保険分として、初めの従業員を雇ってから10日以内に保険関係成立届を労働基準監督署に提出します。

その後、50日以内に概算保険料申告書を作成し、労災保険の概算保険料を前払いで納めます。

雇用保険については、初めの従業員を雇ってから10日以内に雇用保険適用事業所設置届をハローワークに提出します。

その後、翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出します。

ハローワークに提出する書類は、保険関係成立届の提出後に提出する必要がある点に注意が必要です。

e-TAXの使い方

私は個人事業主の税務署への届出に当たり、実際にe-TAXで開業届と青色申告承認申請書を提出しました。

e-TAXには、デスクトップにソフトをダウンロードして対応するダウンロード版と、インターネット上で完結するWeb版があります。

青色申告承認申請書については、いずれのものでも提出できますが、開業届については、Web版では、選択肢が出てこず選べないため、ダウンロード版で対応する必要があります。

そのため、いずれもダウンロード版で対応しました。

まず、e-TAXのソフトをe-TAXの公式ホームページのマニュアルに従いインストールします。

e-Taxソフトについて | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)

そして、e-TAXのソフトを開きます。

そうすると、以下の画面が出てくるので、追加インストールを選択します。

開業届と青色申告承認申請書は、所得税に関わる申請書であることから、申請、所得税に☑をしインストールを押します。

これで所得税関連の申請書類を作成することができます。

その後、利用者ファイルを作成するかを問われるので、新規に利用者ファイルを作成するを選択し、マイナンバーカードを読み込ませ、利用者ファイルを作成します。

銀行口座の開設に当たり、開業届の控えが必要であったため、e-TAXの送信通知から控えを出力しようとしたところ、なぜか開業届の通知がありませんでした。
内容を確認したところ、e-TAXの送信通知の画面で出てる利用者識別番号と電子データ送信時の即時通知の利用者識別番号が相違していることがわかりました。
原因はわかりませんが、ここの設定を誤っているとそのようなことになりかねませんので注意が必要です。
なお、所管の税務署に問い合わせ、利用者識別番号を再度設定後、もう一度開業届を送信することで事なきを得ました。

次に上のタブの作成の申告・申請等の新規作成を選びます。

今回は申告書ではなく、申請書・届出書の作成になりますので、申請・届出を選択し、税目で所得税を選びます。

個人事業の開業・廃業等届出書を選択し、次へを選びます。

次の画面で申告・申請等名を聞かれますが、開業届等の任意の名称を記載します。

そして、次の画面以降で申請書類の具体的な内容を記載します。青色申告承認申請書も同様の手順で作成します。

具体的な内容につきましては、作成の手引き等をご確認ください。

申請書類の作成が終わったら、上のタブの表示から署名可能一覧を選んで、マイナンバーカードをカードリーダーで読み込み署名します。

その後、同じく上のタブの表示から送信可能一覧を選んで、作成したデータを送信して完了になります。

まとめ

個人事業主の開業時の提出書類・手続き
  • 税務署に対して必ず開業届を提出する必要がある。青色申告承認申請書についても青色申告を受ける場合には必要となる。また、従業員を雇う場合は、給与支払事務所等の開設届出が必要で、給与の支給人員が常時10人未満の場合は、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出しておいたほうが手続きを省略できる。
  • 都道府県税事務所・市町村役所に対して、事業開始等申告書を提出する必要がある。
  • 会社を辞めて開業する場合には、健康保険関係・国民年金関係の手続きも必要となる。健康保険を任意継続する場合には、20日以内に届け出る必要がある
  • 従業員を雇う場合は、労働保険関係の手続きも必要になる。

終わりに

今回は、個人事業主が開業する際に必要となる提出書類や手続きについて解説しました。

色々なところに届出をする必要があり、期限が短いものもあります。

税務関係の任意適用関係の届出や健康保険の任意継続については、提出期限を過ぎてしまうと適用できなくなるので特に注意が必要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは!

目次