会計士が解説!税理士の基礎知識・なり方について

クーちゃん

税理士ってどんな職業?
税理士ってどうやってなるの?

今回はこのような疑問に答えれるように解説します。

こんにちは。大阪の会計士/税理士の唐木です。

税理士は、知名度がそれなりにあり、税金に関することを仕事にしているというようなイメージはあるかと思います。

また、公認会計士と税理士って名前は聞いたことがあるけど、どういう違いがあるのかイメージがつかない方も多いと思います。

そこで、今回は 税理士がどのようなことをしているのか、どのようにしてなるのかについて解説したいと思います。

目次

税理士は、税務に関する専門家として、納税義務の適正な実現を図ることが使命

税理士の使命(税理士法第1条)
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

税理士法の税理士の使命では、税理士は独立した公正な立場において、納税義務者に代行し、適正な納税義務の実現を図ることを使命とするとされています。つまり、税理士は、税務に関する知識を用いて、納税義務者の納税義務の実現を果たすことが業務となります。

税といってもいろんな種類があります。税理士が主に申告を代行する税金は以下となります。

所得税
個人の所得に対してかかる税金です。通常、サラリーマンは、会社が暦年ベースの最終給与支払日に実施する年末調整で所得税の計算が完結することから申告は不要となります。そのため、主に所得税申告の対象となるのは個人で事業を行っている個人事業主となります。なお、住宅ローン減税を受ける場合等は年末調整を行っていても、確定申告が必要となる場合があります。

法人税
法人の所得に対してかかる税金です。対象となる法人は、普通法人、協同組合等、様々な種類があります

相続税
個人が被相続人(亡くなられた人)から相続等により財産を取得した際に、その財産に課される税金です。基礎控除の金額が大きいので、相続により財産を取得した場合でも相続税がかからない場合があります。

贈与税
個人から財産を受け取った際にかかる税金です。相続税ほどではないですが、基礎控除があるので、贈与税がかからない場合があります。また、個人からではなく法人から財産を受け取った場合には、財産の内容により所得税がかかります。

消費税
商品の販売やサービスの提供等の取引に対して、最終消費者が負担する税金です。消費税は、個人消費者にとっては、商品代金に税率分の代金を上乗せして支払いを行うことで納税が完結しますが、その後商品代金に含めて消費税を受け取った事業者が申告して国及び地方に消費税を納める必要があります。税理士は、この申告を代行します。消費税は、記載した他の税金とは異なり、納税者と担税者(税金を負担する人)が異なる間接税であるという特徴があります。

税理士の独占業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談

税理士の業務(税理士法第二条要約)
税理士は、他人の求めに応じ、税務代理・税務書類の作成・税務相談を行うことを業とする。

税理士業務の制限(税理士法第五十二条)
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

税理士の独占業務は、 税務代理・税務書類の作成・税務相談 の3つとなります。

税務代理
本来納税者が行うべき、税務を代理で行うことを言います。例えば、税務申告や税務調査の代行が挙げられます。

税務書類の作成
先に解説した所得税・法人税・相続税・贈与税・消費税等の税務に関する申告書を納税者に代行して作成することを言います。

税務相談
納税者の税金に関する相談を受けることを言います。例えば、税金の計算方法、税金の還付にあたって必要な手続、節税方法等についてアドバイスすることが挙げられます。
確定申告の時期になると地元の税理士が税務署に派遣され、申告書作成の相談対応をしていますが、それも税務相談に含まれます。

以上が税理士の独占業務であり、税理士以外が当該業務を実施することは税理士法で禁じられています。独占業務としている理由は、税理士資格を有する能力のある者に税務業務を実施させることで、税務業務について、一定の品質を確保するためとなります。

公認会計士と違い税理士になるには税理士試験に合格する以外の方法もあります。
税理士になるための具体的な方法について、解説します。

税理士試験に合格する

税理士試験は、公認会計士の試験と異なり、税理士試験の受験は、受験資格を満たす必要があります。

具体的には、2年以上の特定の実務経験を有する者、大学等で法律学又は経済学を履修する等特定の学識を有する者、日商簿記1級又は全経簿記上級を有する者等となります。職歴・学識・資格のいずれかで受験要件を満たす必要があります。

税理士試験は全11科目の中から5科目を選択し、科目合格をしなければいけません。
科目は、必須科目の簿記論、財務諸表論、選択必須科目の所得税法、法人税法、選択科目の相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税となります。

税理士試験は、年1回例年8月にあり、その合格率は10%~20%となります。

税理士試験は公認会計士試験と異なり、科目合格制度を取り入れており、1科目ずつ合格することができることから、働きながら5年以上かけて取得するというようなパターンが多いと思います。また、科目合格を一度すると生涯有効であり、公認会計士試験と異なり、期限切れとなることもありません。

一方公認会計士試験は、働きながらというよりも、仕事を辞めたり学生の時に予備校に通って合格するパターンが多いと思います。

公認会計士試験は短期戦、税理士試験は長期戦のイメージになります。

税理士試験の免除を受ける

税理士試験は、5科目の合格をしなければなりませんが、特定の条件を満たすと合格が免除されます。

免除の方法としては、会計系や税務系の大学院(いわゆるアカスク)の課程を修了するであったり、特定の年数税務署に勤務する等が挙げられます。アカスクに通って免除を受けて、残りの科目の合格を目指すというのはオーソドックスな合格方法となります。

また、税務署に23年間又は28年間(所属する部署で異なります。)勤めて一定の研修を受けることで、税理士試験を受けずに税理士登録することができます。いわゆる国税OB税理士ですが、近年は顧問先の斡旋が行われなくなったことから減少傾向にあるようです。

弁護士又は公認会計士となる資格を有するもの

弁護士又は公認会計士資格を有しているか、またはそれらになる資格を有する者が税理士登録をすることができます。

これらの違いは、資格登録をしているか否かとなりますが、資格登録には入会時に入会金等の費用が掛かるのとは別で、ランニングコストとして、弁護士で年額50万円~100万円程度、会計士で年額10万円~15万円程度のお金がかかります。

余談になりますが、監査法人に勤務していれば、年会費は通常監査法人が負担してくれるので個人で負担することはありません。

お金を払って資格登録はしていないけど、資格登録することができる人であれば、税理士資格を取得することができます。なお、税理士も資格を取得すると年額10万円~15万円程度のお金がかかりますので、資格維持にそれなりのお金がかかります。

まとめ

税理士について
  • 税理士は、税務代理・税務書類の作成・税務相談を独占業務としている。
  • 税理士になるためには、税理士試験に5科目合格する又は、免除を受けたうえで合格する、税務署に長期間勤める、弁護士又は公認会計士の資格を有するのいずれかを満たす必要がある

終わりに

今回は、税理士について解説しました。

税理士は長期戦となりやすいことから、科目合格をしたけども5科目集めきれずドロップアウトしてしまう方が多いのが現状です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは!

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